3月22日、バングラデシュのコックスバザールにあるロヒンギャ難民キャンプで大規模な火災が発生しました。
ニュースでも報道されているので、ご存じの方も多いかと思います。
3月23日の時点で560人以上が負傷し、400人以上が行方不明のまま。そして、 約4万5000人が生活の場であったシェルターを失っています。
「僕たち私たちにできること」のところにも、現地で支援品調達を担当してくれている方から「支援をしてほしい」とたくさんの写真や動画を共にメッセージが送られてきました。
聞くと、私たちが支援している学校2つは火災から遠いエリアで、直接被害はないそうです。ただ、他の困っている家族たちをなんとかできないか、と。
今、何が一番必要なのか尋ねると、食事をするための皿やカトラリー類、服一式、などとのことで、ひと家族を支援するために必要なのは約2,000円でした。
私たちの予定している次回の支援ももう来月で、ちょうど考え始めたところでした。
タイミング的にも、この緊急事態を考えても、最初は火災で被害にあった人たちを支援をするのが妥当なことのように思えました。
でも、私たちのクラウドファンディングは、「子どもたちに希望を届けること」を目標にはじめ、それに賛同してくださった千人以上の方が協力してくれた大切な預かりもの。
難民キャンプでは、どうしても大人の男性が最優先、女性と子どもは後回しになるということを何度も聞いて知っています。
そして、私たちが支援できるのは、ほんの一部の家族だけ。全員に食器と服一式が配れるならまだしも、ほんの一部だけの人たちを現地ではどうやって選ぶのでしょう。
私たちの中途半端な支援によって、同じ被害を被った人たちの中に、「もらえる家族」と「もらえない家族」がうまれてしまう。
「やり方に気を付けないと、支援が原因で現地にトラブルをうむことになる」
これは、世界の医療団の方々に頂いた大切なアドバイス。保護者の私たちも、当初よりこの言葉をずっと忘れずに活動しています。
悩んだ結果、それだけは避けなければ、との結論に至りました。
そうはいっても、放っておくわけにもいきません。まず、UNHCRの方に電話でうかがってみました。日本からも世界中からも、難民支援や人道支援でたくさんの支援金がバングラデシュに届いているとのニュースを度々目にします。そういった支援金こそ、今使われるべきではないでしょうかとお尋ねすると、それはもちろん届くし、支援する際に「ロヒンギャ難民の支援に使いたい」との用途の目的を明確に伝えることで、具体的にどこの難民キャンプか、とか、何の物資か、というところまでは指定出来ないが、確実に届きますとのことでした。
日本から20億円という莫大な支援金をバングラデシュとミャンマーに送る決断をされた茂木大臣にも、別途メッセージを送ってみました。こちらはお返事は頂けていませんが、子どもたちはぜひ、そのお金がどこに使われるのか、どんな風に役に立てるのか知りたいと話しています。
バングラデシュの伊藤大使とのやり取りの中で、「次は、大きな団体を支援することも視野に入れてほしい」とおっしゃっていたことを思い出しました。
「難民キャンプのなかに不平等を生まずに支援を続ける」
「後回しになりがちな子どもたちの教育を支援する」
現地からは時々、今回の火災支援だけでなく、他の支援の依頼も来ます。それを断れば、相手はがっかりします。一見冷たい対応に思えるでしょう。それでも、長期的に支援を継続していくためにも、この2つの軸は、大切にしていかなければならないだろうと話し合っています。
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